遺言の種類と実効性

遺言書の種類

遺言とは、万一のことがあった場合、自分の遺産を誰にどのように託すかについて書き記すものです。この意思表示を民法の規定に従って残したものが、遺言書と呼ばれます。

 

(遺言の方式)

民法960条

遺言は、この法律に定める方式に従わなければ、することができない。「この法律に定める方式➡967条から984条」

  「遺言の撤回と要式性➡1022条」

通常の(普通方式)遺言には、自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言があります。

 自筆証書遺言は、遺言者が遺言の全文・日付・氏名を自分で手書きし、押印する遺言の方式です。日付・氏名・押印のひとつでも抜けてしまうと無効になります。また、パソコンを使って書いたものや、音声で録音したものは認められません。

 公正証書遺言とは、遺言者が遺言内容を口頭で述べ、証人2名の立ち合いのもと、公証人に遺言書を作成してもらう方式です。公証役場に出向いて作成します。

 遺言の実効性

 夫が「自分が死んだら自宅を含めた財産をすべて妻に相続させる」という趣旨の遺言書を作成しておいたとしたら、どうなるのでしょうか?

 夫に子供か両親がいる場合には、それらの者には遺留分という最低限の取り分があります。したがって、残念ながら、後にその遺留分を主張されてしまうと、夫の遺言どおりすべてを妻に遺すことはできません。しかし、兄弟姉妹には、遺留分の権利がありません。したがって、この場合は、夫の遺言どおり、妻が全財産を相続することができるのです。

 自筆証書遺言は、自分1人で書ける簡便な方法ではありますが、法律上の要件を満たさなければ無効になります。また、いざ遺言書を開封するにあたっては、家庭裁判所で検認手続きを経る必要があるため、実は後々かなり面倒なのです。この点、公正証書遺言の場合、多少の手数料はかかりますが、無効になる心配はないし、後の手続きも簡単です。

 

 

遺言書が必ず必要な方

遺言を作成することは、法律の及ばないきめの細かい相続を可能にします。

1.遺言者が、法定相続分と異なる配分をしたいとき

  推定相続人(相続する順位にいる人)各人の生活状態を考慮して相続財産を指定できます。

2.遺産の種類や数が多いとき

  法定相続分で分割することでは協議が一致しても、誰が何を取得するかはなかなかまとまらない

  場合が多いものです。1とも関連しますが、遺言で指定しておけば紛争防止に役立ちます。

3.推定相続人が配偶者と兄弟姉妹または親のとき

  配偶者(妻または夫)と義理の兄弟姉妹との話し合いは、交際の程度にもよりますが、円満に

  は進まないものです。兄弟姉妹には遺留分がありませんから、遺言(公正証書遺言がよい)が

  あれば100%配偶者が相続できます。 

  親は遺留分がありますが、遺言があればより多く配偶者へ相続させることができます。

  子がいなければすべて妻(または夫)が相続できると考えている方が大変多く見受けられますが

  、まったくの誤りです。

4.自営業の場合

  農業や個人企業などのように、相続によって資産が分散しては経営が成り立たなくなるおそれが

  ある場合にも、遺言は有効です。ただし、遺留分の問題がありますので、他の相続人への配慮も

  必要です。

5.推定相続人以外の人へ遺産を配分したいとき

  この場合は遺言がなければ不可能です。

 (1)息子(長男)の嫁

 (2)内縁の配偶者

 (3)第1順位出ない相続人(孫など)

 (4)看病してくれた人(相続人以外)や団体(宗教団体、政党)

 (5)公共団体への寄付(市区町村、自治会)

 (6)その他

 

 ★遺言があった方が相続が円満に行われると思われる場合です。

 (1)推定相続人の中に行方不明者や浪費者がいる人

 (2)推定相続人同士の仲が悪い場合

 (3)先妻との間に子があり、後妻がいる人

 (4)1人で生活している未婚者

 (5)愛人との間に子がいる人

 

遺留分とは

法定相続分に残さなければならない最小限の相続分(父母のみ=法定相続分の3分の1、その他ー配

偶者のみ、子のみ、配偶者と子、配偶者と親、=法定相続分の2分の1)。ただし、兄弟姉妹に遺留

分はない。

 注意・・・遺留分を侵害する遺言であったとしても、その遺言は有効です。

遺留分減殺請求とは

遺言によって遺留分を侵害された遺留分権利者が、遺留分を取り戻す権利を付与しています。この権

利を遺留分減殺請求といいます。

➡遺留分減殺請求のポイント

 ☆遺留分減殺請求には時効がある

 ①相続の開始および遺留分の侵害を知った日から

    または

 ②(相続の開始を知らなかったときは)相続開始から10

公正証書遺言

  当事務所では、公正証書遺言を中心にお手伝いさせていただきます。

  遺言原案作成手順

 1.遺言原案作成相談(面談)

 2.業務受任

  (委任状、同意書、着手金・実費預かり金を受領)

 3・戸籍、住民票調査

 4.財産調査

 5.遺言者様と面談

  (調査報告、遺言内容の打ち合わせ)

 6.遺言原案作成

 7.遺言者様と再面談(遺言原案の確認、修正)

 8.公証人との打ち合わせ

 9.遺言者様へ公正証書作成日等を文書連絡

10.公証役場で遺言公正証書を作成

11.遺言公正証書確認、遺言者様への引き渡し

12.報酬残金受領、実費精算を行い業務完了

 

公正証書遺言の利点

1.原本が公証役場に保管されますので、遺言書の紛失・偽造・変造のおそれがありません。法律上

  の保存期間は20年ですが、遺言者が100歳に達するまでは保管するのが一般的です。紛失し

  た場合は再発行してもらえます。安全・確実な遺言です。

2.遺言執行に際して、家庭裁判所の検認は不要です。自筆証書遺言や秘密証書遺言は検認が必要と

  なり、相続人確定のための戸籍謄本・除籍謄本など相当の証明資料を収集しなければなりません

  (遺産分割協議同様)。検認は相続人全員が同時に立ち会う必要があります。ただし、欠席者が

  いても検認がおこなわれます。

 

  同時に、公正証書遺言には次のような点があります。

1.資料収集・原案作成など時間と労力がかかります。

2.証人が立会いますから、遺言の存在と内容が秘密にできません。ただし、行政書士が証人となっ

  た場合は、法律による守秘義務があり、秘密は固く守られます。

3.作成料・手数料などの費用が必要です。

4.証人の選定が必要です。

 

 なお、行政書士(当事務所)が公正証書遺言作成を依頼された場合は、資料収集、調査、原案作成

 、証人のすべてをお引き受けします。 

 

公正証書遺言の報酬・費用

1.相談料

 まずは、無料相談(📲090-1996-7223)にてお問い合わせください。

    遺言書の書き方や、相続に関する知識をわかりやすく説明いたします。

 初回無料:要予約

 (交通費はお引き受けください。)

 2回目以降(5,000円/1時間)も2ヶ月以内に受任した際は、料金から値引きいたします。

2.公正証書遺言原案作成

   36万8千円(税込み)この金額以上になることはありません。+実費⑧+公正証書作成手数料⑨

(⑨は公正役場にお支払いする費用です。)

     見積内訳

①遺言者調査      76,000円  1名

②財産調査       38,000円  1件

③推定相続人調査  11,000円    3名 33,000円(3名以上は同金額です。)

④遺言原案作成           76,000円

⑤遺言者顧問契約       38,000円  2か月 76,000円

⑥公正役場証人日当   19,000円  2名 38,000円(ご依頼人様が準備される場合は、0円です。)

⑦公正証書(正本)保管料   31,000円終生

 ①~⑦の合計  368,000円

 

⑧謄本・交通費等実費          30,000~50,000円

⑨公正証書作成手数料    別途計算(下記PDF参照)

公証人手数料(抜粋)

ダウンロード
公証人手数料の計算方法
公証人手数料の計算方法 - .pdf
PDFファイル 78.4 KB